
「石の猿」というタイトルの本を読んで面白いと感じたので、感想を書かせて頂きます。
小説「石の猿」は、「ボーンコレクター」や「ウォッチメイカー」で有名なリンカーンライムシリーズを書いているジェフリーディーバーのシリーズ第4弾の作品です。
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リンカーンライムシリーズは、現在、第11シリーズまで翻訳出版されています。
石の猿は、「ボーンコレクター」、「ウォッチメイカー」、「スキンコレクター」など、他の作品に比べると比較的知名度も低く、読んでいる人の数も少なめかもしれません。
ただ、自分は情景描写や世界情勢などの勉強になる情報が含まれている小説が好きなので、シリーズの中でも面白い方だと感じました。
内容は、中国からアメリカに密航で渡ってくる中国人密航者について主なメインテーマにしています。
密入国を斡旋するブローカー犯罪組織の蛇頭が、密入国者がアメリカに上陸する寸前に殺人を犯します。
この蛇頭の殺し屋”ゴースト”とは誰なのか!?と命打った犯人を特定する物語となっています。
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アメリア・サックスなどのお馴染みのアメリカ警察が、ゴースト(蛇頭)の正体を突き詰めていきます。
この本に出てくるゴースト(蛇頭)自身も、子供の頃の中国社会の現実に振り回された不幸があり、蛇頭になった原因と言えます。
未だに、歴史の謎として取り上げられることの多い中国の文化大革命。
中国の歴史の中で文化大革命はどんな意味があって、何の目的と成果があったのか、という論議は今でもなされることが多いようです。
文化大革命では過激化した全国的な青年学生運動として、紅衛兵という存在が台頭してきます。
紅衛兵は毛沢東(原理主義)の政策を武力で支えるために若者を中心に結成した組織で、中国の近・現代史の闇とも言える存在です。
主人公のゴースト(蛇頭)も、この紅衛兵により、両親と兄を殺されたという過去があります。
これらの現実問題と絡まった背景も含め、物語も二転三転し、飽きずに読み進められます。
中国からアメリカに渡ってくる不法移民の殆どは、香港のある広東省とそのすぐ北の福建省だそうです。
福建省最大の都市である福州は、港の町で、異国へ旅立つ不法移民の大多数がここから出発するそうです。
私は様々な小説を読む中で、ただ、物語りなどのあらすじだけが書かれた小説よりも、こういった現実の社会情勢が適度に勉強になる作品が好きです。
「石の猿」は、中国の歴史や密航者の事情などが絡まった濃密なミステリーで、おすすめの一冊だと思いました。
気になった方は、是非、読まれてみてはいかがでしょうか。
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